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研究成果

世界中で行われている研究によって,認知行動療法は以下のような問題に効果的であることが分かっています。ただし,このガイドラインは随時更新,あるいは変更されていきますので,詳細は下記のHPをご参照ください 注2)。子どもの不安症の効果研究に関するガイドラインはこちらをご参照ください。

現在まで認知行動療法のエビデンスが証明されている領域(2017年12月時点)注2)


アメリカ心理学会第53部会ホームページを参考にHP作成者が作成(https://www.clinicalchildpsychology.org/

注2:エビデンスが証明されているというのは,科学的な手法によって有効性が実証されているという意味です。全てのクライエントさんに万能な方法とはあり得ませんので,ここで示されている基準は,あくまで目安です。改善率などの詳細は個々の文献を参照してください。

研究会に関連した研究成果

論文タイトル/著者 学会誌/巻号 概 要
児童の不安障害に対する認知行動療法
石川信一・坂野雄二
2004
行動療法研究,30,125-136 この時点までの児童における不安障害に対する認知行動療法に関する展望論文。
不安症状を示す児童に対する認知行動療法プログラムの実践
石川信一・坂野雄二
2005 行動療法研究,31, 71-84.
不安症状を示す児童に対して,認知行動療法プログラムを開発し,適用したケース研究。
児童青年に対する抑うつ予防プログラム:現状と課題
石川信一・戸ヶ崎泰子・佐藤正二・佐藤容子
2006
教育心理学研究,54,572-584.
先行研究時で実施されている児童青年を対象としたユニバーサルとターゲットタイプの抑うつ防止プログラムについての展望論文。
維持促進を目指した児童に対する集団社会的スキル訓練
荒木秀一・石川信一・佐藤正二
2007 行動療法研究,33,133-144.
児童に対する学級単位の社会的スキル訓練(SST)の維持促進を目指した実践研究。

⇒通常の学級単位のSSTに加えて,維持促進の手続きを行ったクラスでは,3ヶ月時においても獲得された社会的スキルが維持されていることが示された。
Cognitive behavioural therapy for anxiety disorders in children and adolescents: A meta-analysis
Ishikawa, S., Okajima, I., Matsuoka, H., & Sakano, Y.
2007
Child and Adolescent Mental Health, 12,164-172.
児童青年に対する認知行動療法の有効性を検討したメタ分析。

⇒認知行動療法について,対照群と比較して中程度の効果サイズ(d = 0.61)が得られた。
児童の不安障害に対する短期集団認知行動療法の効果
石川信一・下津咲絵・佐藤容子
2008 精神科治療学, 23 1481-1490.
不安障害の児童に対する短期集団認知行動療法の効果研究。

⇒12名中9名が不安障害の診断基準から外れた。また,親評定と自己評定における不安症状に有意な低減がみられた。加えて,3ヶ月時点では抑うつ症状にも有意な効果がみられた。
中学生に対する学校ベースの抑うつ予防プログラムの開発とその予備的効果検討
石川信一・戸ヶ崎泰子・佐藤正二・佐藤容子
2009
行動医学研究, 15, 69-79.
中学生を対象とした抑うつ予防プログラムの開発と予備的効果研究。

⇒1クラスを対象とした検討の結果,先生との関係スキル,教師からのサポート,友人関係のストレッサーに改善効果がみられた。加えて,同レベルの抑うつ得点を示す統制群との比較においては,抑うつ得点における効果も確認された。
学級アセスメントに基づく集団社会的スキル訓練の効果
小関俊祐・高橋 史・嶋田洋徳・佐々木和義・藤田継道
2009 行動療法研究,35,245-255. 社会的スキル訓練(SST)にセルフモニタリングを追加した場合の加算効果に関する研究。

⇒両群において社会的スキル得点の上昇とストレス得点の有意な低減が確認され,7か月後まで維持していた。セルフモニタリングの実施によって,学級における集団の変化の理解と,SSTの効果の維持が得られた。
児童の抑うつ症状に対する学級規模の認知行動療法プログラムの有効性
佐藤 寛・今城知子・戸ヶ崎泰子・石川信一・佐藤容子・佐藤正二
2009 教育心理学研究, 57,111-123.
学級ベースの認知行動療法プログラムの効果研究。

⇒抑うつ症状の有意な低減,カットオフポイントの超える児童の割合の減少といった効果に加え,プログラムで取り扱った社会的スキルや認知の誤りの改善が確認された。
社会的スキル訓練による児童の抑うつ症状への長期的効果
石川信一・岩永三智子・山下文大・佐藤 寛・佐藤正二
2010
教育心理学研究, 58,372-384.
実施による進級後の抑うつ症状への効果研究。

⇒ウェイティングリストコントロールデザインを用いて検討を行った結果,それぞれの群の時期に応じて社会的スキルの向上が確認された。さらに,両群において1年後の抑うつ症状の減少がみられた。
中学生に対する問題解決訓練の攻撃行動変容効果
高橋 史・小関俊祐・嶋田洋徳
2010 行動療法研究,36,69-81. 中学生に対する問題解決訓練(PST)を実施する際の解決策の効果検証訓練,およびリラクセーションの併用による効果研究。

⇒組み合わせ型PST群は標準的PST群よりも問題解決プロセスが改善しており、攻撃行動の減少効果が示された。
日本の子どもを対象とした学級単位の社会的スキル訓練の効果-メタ分析による展望-
高橋 史・小関俊祐
2011 行動療法研究,37,183-194. 日本の学級単位の社会的スキル訓練(SST)の効果に関するメタ分析。

⇒ (1)社会的スキル向上効果は大きい。
(2)小学1〜3年生の児童に対して最も効果を示しやすい。
(3)セッション数による効果サイズの差異はない。
(4)担任教師が実施する優位性はない。
(5)セッション時間外の介入でSSTの効果が高まると言えない。
(6)教師評定や仲間指名法において効果が示されやすい。
自閉症スペクトラム障害に併存する社交不安障害に対する認知行動療法
石川信一・下津紗貴・下津咲絵・佐藤容子・井上祐紀
2012 児童青年医学とその近接領域,53,11-24. 自閉症スペクトラム障害と社交不安障害を有する中学生女子に認知行動療法を適用したケース研究。
Cognitive behavioural therapy for Japanese children and adolescents with anxiety disorders: A pilot study.
Ishikawa, S., Motomura, N., Kawabata, Y., Tanaka, H., Shimotsu, S., Sato, Y., & Ollendick T. H.
2012 Behavioural and Cognitive Psychotherapy,40,271-285.
不安障害の児童青年に対する個人認知行動療法(ICBT)と集団認知行動療法(GCBT)の効果研究。

⇒プログラム終結3ヶ月後において,20名(60.91%)が主たる診断から外れ,16名(48.48%)が不安障害の診断全てから外れることが示されたが,ICBTとGCBTにおいて治療効果に有意な差はみられなかった。
心理士による児童青年のうつ病性障害に対する認知行動療法の実施:3事例の報告
石川信一・元村直靖
2012 行動療法研究,38,203-213.
うつ病性障害の児童青年に認知行動療法プログラムを適用した3事例についての報告。

⇒心理士による認知行動療法プログラムの実施の結果,全ての対象者が気分変調性障害の診断基準から外れることが示され,その効果は3ヶ月後においても維持されていた。
児童の不安障害に対する親子認知行動療法の効果
石川信一・菊田和代・三田村 仰
2013 心理臨床学研究, 31,364-375. 不安障害の児童を対象に親子認知行動療法の効果研究。

⇒3ヶ月時点において,12名中6名が主たる不安の基準から外れることが示された。また,臨床家評定においても有意な改善がみられた。
Long-term effects of a universal prevention program for depression in children: A 3-year follow-up study.
Sato, S., Ishikawa, S., Togasaki, Y., Ogata, A., & Sato, Y.
2013 Child and Adolescent Mental Health, 18,103-108. 小学3年生の児童に対する社会的スキル訓練の長期的な抑うつ予防効果研究。

⇒抑うつの有意な低減がみられ,その効果が3年間維持されていることが明らかにされた。さらに,1年後から3年後まで標準群と比較して抑うつの得点が低いことも示された。
児童に対する社会的スキル訓練による転校生受け入れに関する自己効力感向上効果
高橋 史・小関俊祐・小関真実
2014 ストレス科学研究,29,77-83. 転校生受け入れに関する子どもの自己効力感に対する集団社会的スキル訓練 (SST) の効果研究。

⇒SST群において引きこもりが減少し,転校生受け入れに関する自己効力感が向上した。また,向社会的行動の変化と自己効力感の変化との間に正の関連が見られた。
子どものためのユニバーサル抑うつ予防プログラムの媒介変数の検討
松原耕平・佐藤 寛・石川信一・髙橋高人・佐藤正二
2015 認知療法研究,8,248-257. 小学生を対象としたユニバーサル抑うつ予防プログラムの作用メカニズムの検討。

⇒媒介変数の検討の結果,社会的スキルのうち「やさしい言葉かけ」,認知の誤り,ネガティブな自動思考が抑うつの症状の低減に寄与していることが明らかとなった。
中学生に対する社会的問題解決訓練の効果
髙橋高人・石川信一・井上嘉代美・佐藤正二
2015 認知療法研究,8,58-70. 中学生を対象とした学級規模の社会的問題解決訓練の効果研究。

⇒ストレス反応の身体反応,抑うつ,不安において有意な介入効果が見られた。さらに友人からのソーシャルサポートの向上がみられた。
日本における子どもの認知行動療法の学術活動の動向に関する実証的検討:2004年世界認知行動療法学会(神戸)開催の前後比較
石川信一・肥田乃梨子・岸田広平・上田有果里・中西 陽・金山裕望
2016 認知療法研究,9,34-43. 日本における子どもを対象とした認知行動療法の展望論文。

⇒抽出された373の研究発表のうち,学術誌と紀要において,研究発表が有意に増加していることが示された。さらに,予防的な研究が普及していることが示唆された。
自閉スペクトラム症的特性の高い中学生に対する通常学級での集団社会的スキル訓練の効果
中西 陽・石川信一・神尾陽子
2016 教育心理学研究, 64,544-5 中学校の通常学級集団で実施する社会的スキル訓練(SST)の効果について自閉的特性の高さから検討した研究。

⇒高特性の生徒においては,統制群では肯定的な変化が示されなかったのに対し,介入群では有意な社会的スキルの向上と身体的ストレス反応の低下が示された。低特性の生徒に対しては,統制群と比較して介入後に有意なソーシャルサポートの向上と孤独感の改善が示された。
小学校におけるユニバーサル予防プログラムの維持効果:中学校進学後のフォローアップ
松原耕平・福満恵里子・佐藤 寛・石川信一・佐藤正二
2017 認知療法研究, 10,181-193. 小学6年生時の抑うつ予防プログラムの効果を,中学進学後に検討した研究。

⇒介入群53名と,統制群105名との比較では,有意な結果は得られなかったものの,低リスク群での効果が示された。
児童養護施設で生活する社交不安症状が高い児童への認知行動的介入および施設職員に対する心理教育の導入
長尾文子・石川信一
2018 認知療法研究, 11,217-226. 児童養護施設で生活する社交不安症状を示す女児に対する認知行動療法の事例研究。

⇒対人交流場面での不安とネガティブな自己陳述の低下,及び日常生活での対人交流の増加が報告された。
自閉スペクトラム症児のための社会的スキル尺度親評定版の作成
中西 陽・石川信一
2018 心理臨床学研究, 36 (4),387-396. 自閉スペクトラム症児のための社会的スキル尺度親評定版 (ASAP) の作成,信頼性と妥当性の検討をした研究。

⇒十分な臨床的妥当性や基準関連妥当性を有する尺度が作成された。
子ども用強み注目尺度の作成と信頼性・妥当性の検討
阿部 望・岸田広平・石川信一
2019 パーソナリティ研究,28 (1),42-53. 子ども用強み注目尺度を作成し,その信頼性と妥当性を検討した研究。

⇒小中学生487名を対象に確認的因子分析を行った結果,15項目2因子構造の尺度であることが示された。また,許容範囲の信頼性と一部の妥当性を有する尺度であることが示された。
A randomized controlled trial of a bidirectional cultural adaptation of cognitive behavior therapy for children and adolescents with anxiety disorders.
Ishikawa, S., Kikuta, K., Sakai, M., Mitamura, T., Motomura, N., & Hudson, J. L.
2019 Behavior research and Therapy, 120, 103432. https://doi.org/10.1016/j.brat.2019.103432. 日本型の子どもの不安症に対する認知行動療法(CBT)プログラムの有効性をランダム化比較試験によって検討した研究。

⇒51名の対象者をCBT群と待機コントロール群(WLC)に割り付け,効果を比較したところCBT群では50%が主たる問題から改善をしたのに対して,WLC群では12%であり,有意な差が検出された。さらにこの効果は3ヵ月後まで維持された。
登校しぶりを示す小学1年生の児童に対する認知行動療法
加藤澄江・石川信一
2019 認知療法研究,12,141-151. 内在化問題を示す登校しぶりの小学1年生に対する、認知行動療法の事例報告。

⇒認知行動療法プログラムの適用の結果、自己報告の不安得点と抑うつ得点の減少がみられた。さらに,その効果は3ヶ月後まで維持していた。
青年の怒りに対する認知行動療法:イライラを主訴とする中学生に対する実践
岸田広平・石川信一
2019 認知療法研究,12,130-140. イライラを主訴とする中学生に対する認知行動療法の実践報告。

⇒介入の結果, 介入後と6カ月フォローアップ期において, 怒り関連項目および不安症状の改善が示された。
児童青年の不安症と抑うつ障害に対する回避行動に焦点化した診断横断的介入プログラムの予備的検討 
岸田広平・石川信一
2019 認知行動療法研究,45,73-85. 児童青年の不安症と抑うつ障害に対する回避行動に焦点化した診断横断的介入プログラムの有用性と有効性に関する予備的検討を行った研究。

⇒介入の結果, 臨床家評定の主診断の重症度と診断の数, 自己評定の不安症状と抑うつ症状, 親評定の不安症状, 自己評定の情緒への有効性が示され, プログラムの有効性と有用性が示唆された。
子ども用快活動尺度の作成および信頼性と妥当性の検討
岸田広平・石川信一
2019 認知行動療法研究,45,61-72. 子ども用快活動尺度 CPAS) を作成した研究。

⇒児童331名に対する調査を実施した結果, いくつかの限界はあるものの, CPASの信頼性と妥当性が確認された。
Developing the universal unified prevention program for diverse disorders for school-aged children.
Ishikawa, S., Kishida, K., Oka, T., Saito, A., Shimotsu, S., Watanabe, N., Sasamori, H., & Kamio, Y.
2019 Child and Adolescent Psychiatry and Mental Health. https://doi.org/10.1186/s13034-019-0303-2. Universal Unified Prevention Program for Diverse Disorders(Up2-D2)の開発過程をuser-centered designの観点から論考した論文。

⇒有用性の検証の結果,213人の子どもの回答から,9割を超す子どもたちが学んだスキルを教室以外でも使える自信があると答えていることが明らかとなった。
The development, progress, and current status of cognitive behaviorur therapy in Japan.
Ishikawa, S., Chen, J., Fujisawa, D., & Tanaka, T.
2019 Australian Psychologist. 1-8. https://doi.org/10.1111/ap.12450. 日本における認知行動療法(CBT)の発展・進歩・現状・将来の方向性についての概説をした論文。

⇒歴史の説明,日本の精神疾患に対するCBTに関するエビデンスの報告,心理学者のためのトレーニングの概説や,日本における心理士の資格に関連した国民健康保険制度の影響と役割について述べられ,最後に将来の方向性について議論された。
児童青年に対する診断横断的介入のフォローアップの有効性の予備的検討
岸田広平・石川信一
2020 心理学研究,91,63-68. 児童青年の不安症と抑うつ障害に対する診断横断的介入におけるフォローアップの有効性の予備的検討を行った研究。

⇒不安症や抑うつ障害を有する児童青年8名に対して3ヵ月と6ヵ月後の効果を検証したところ,臨床家評定による主診断の重症度と診断の数の改善が示された。
不眠症状の改善をもたらす認知行動的要因とその媒介効果に関する展望
乳原彩香・石川信一
2020 認知行動療法研究,46,1-14. 不眠症状に対する認知行動療法の改善メカニズムに寄与する認知構想的要因に関する研究動向の展望。

⇒非機能的信念,安全確保行動,入床時間の変動性,身体的・認知的過覚醒が不眠症状の改善に媒介することが示された。
Research Review: Recommendations for reporting on treatment trials for child and adolescent anxiety disorders - an international consensus statement.
Creswell, C., Nauta, H. M., Hudson, L. J., March, S., Reardon, T., Arendt, K., ... Kendall. C. P.
2020 The Journal of Child Psychology and Psychiatry. https://doi.org/10.1111/jcpp.13283. 子どもの不安症の効果研究に関するガイドライン。

⇒国際的な一貫性を促進し,今後の研究機会を十分に活かすために,アウトカム尺度の選択と研究報告のための勧めがまとめられた。
A comparison of interactions among children, parents, and therapists in cognitive behavior therapy for anxiety disorders in Australia and Japan.
Ishikawa, S., Romano, M. & Hudson., J. L.
2021 Behavior Therapy https://doi.org/10.1016/j.beth.2021.05.008. 日本とオーストラリアのCBTの治療における相互作用を比較することを目的として行われた研究。

⇒CBTセッション中の子ども・親・セラピスト間の相互作用は,文化によって影響を受ける可能性が示唆された。
Transdiagnostic behavioural intervention for children with anxiety and depressive disorders: A feasibility study.
Kishida, K., Ishikawa, S., Ubara, A., Abe, N. & Arai, H.
2021 Behaviour Change. https://doi.org/10.1017/bec.2021.24. 不安と抑うつに対する診断横断的介入 (STREAM) の実行可能性および効果の検討を行った研究。

⇒臨床現場でのSTREAMの実現可能性が実証され,3か月後のフォローアップ査定において不安および抑うつの子どもに対する有効性が支持された。